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松岡 清吉; 井戸村 泰宏; 佐竹 真介*
Physics of Plasmas, 25(2), p.022510_1 - 022510_10, 2018/02
被引用回数:17 パーセンタイル:74.87(Physics, Fluids & Plasmas)プラズマ輸送シミュレーションにおいて、ジャイロ運動論方程式をスケール分離を仮定せずプラズマ全体について第一原理に基づいて解く大域的full-fシミュレーション手法が注目されている。本研究では、複雑な3次元磁場形状をもつステラレータ型プラズマを大域的full-fジャイロ運動論シミュレーションコードであるGT5Dに適用するため、GT5Dの差分計算手法の拡張、及び3次元磁場平衡構築コードVMECとのインターフェースの開発を行った。開発したコード群の妥当性検証を目的として輸送に関する標準的なベンチマーク計算を行った。その結果、GT5Dが局所理論解析モデルや他の大域的新古典輸送コードの結果とよく一致することを示した。
松岡 清吉; 井戸村 泰宏; 佐竹 真介*
Physics of Plasmas, 24(10), p.102522_1 - 102522_9, 2017/10
被引用回数:4 パーセンタイル:21.74(Physics, Fluids & Plasmas)軸対称磁場閉じ込め装置であるトカマク型プラズマにおいて、誤差磁場等に起因する3次元的な非軸対称成分を持つ摂動磁場の効果が閉じ込め性能向上や不安定性制御の観点から注目されている。近年、3次元摂動磁場が駆動する衝突性粘性について、従来より広く用いられてきたバウンス平均理論モデルと大域的運動論シミュレーションの両者で得られた結果が一致しないことが指摘され、その物理機構の解明が課題となっていた。本研究では、二つの異なるモデルに基づいた大域的運動論シミュレーションを用いて詳細な解析を行い、上記の差異が生じる物理機構について検討した。その結果、理論モデルと大域的シミュレーションの不一致が、(1)粒子軌道の効果によって粒子軌道の共鳴構造が失われ、粒子が実効的に感じる摂動磁場強度が弱まること、(2)粒子軌道に沿った位相混合により速度空間構造内に微細構造が生成され輸送量の減衰が起きること、の二つが原因であることを明らかにした。
高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 秋本 肇; 佐竹 信一*
Proceedings of International Conference on Jets, Wakes and Separated Flows (ICJWSF 2005), p.137 - 144, 2005/11
著者らは水や蒸気からなる二相流現象を実験式や構成式を極力用いないで予測する新しい二相流解析手法の開発を行っている。本手法では従来手法よりも大量の計算格子数が必要である。そこで、著者らは地球シミュレータ等のスーパーコンピュータを用いた効率的な大規模シミュレーション法開発や大規模解析データの可視化表示法開発も併せて行っている。本報では、開発中の二相流解析手法を使って予測した将来型水冷却炉の燃料集合体内を流れる気泡流及び液膜流挙動の結果を示す。燃料棒が稠密に配置された将来型炉の燃料集合体において、狭隘な燃料棒間における大規模な気泡の合体・分裂に関する挙動がはじめて詳細に明らかになった。また、スペ-サまわりの液膜挙動の詳細も明らかになり、数値計算によるスペ-サ形状の最適設計実現に対して高い可能性が得られた。
高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 秋本 肇; 青木 尊之*
第24回日本シミュレーション学会大会発表論文集, p.161 - 164, 2005/07
著者らは二相流計算に特有の実験式や構成式を極力用いないで原子炉内の水や蒸気の挙動を正確に予測する解析手法の開発を行っている。本報では、革新的水冷却炉に用いられる稠密燃料集合体内の複雑な水-蒸気系二相流挙動を、地球シミュレータ等のスパコンを利用した大規模3次元シミュレーションによって予測評価し、狭隘流路を流れる気泡の流動に及ぼす流路壁の影響や燃料棒表面を流れる液膜に及ぼすスペーサの影響などを定量的に明らかにした。今研究によって、大規模シミュレーションを主体とした炉心熱設計手法の開発に対して高い見通しを得ることができた。
高瀬 和之
日本機械学会流体工学部門ニューズレター流れ(インターネット), 6 Pages, 2005/04
大規模シミュレーションを利用した先進的原子炉熱設計手法に関する研究を行っている。本研究の目的は、従来熱設計手法のように二相流解析を特徴づける実験式や経験式を極力用いることなく、シミュレーションを主体とした新しい熱設計手法を確立することであり、従来手法と組合せることによって予測精度向上を実現することである。そのために、著者が所属する研究グループでは、二相流直接解析コードの開発,二相流計算の高速化,可視化表示法の高度化,実験による検証データの取得,3次元熱流動計測技術の開発などを行っている。本報では、地球シミュレータを利用した大規模シミュレーションによって原子炉燃料集合体内の3次元水-蒸気二相流分布を、従来手法よりも詳細に予測できることを一連の解析結果から明らかにした。今後も二相流データベースとの予測精度評価を行いながら、シミュレーションを主体とした先進的炉心熱設計手法の確立を目指して研究を展開したい。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム(HPCS 2005)論文集, P. 16, 2005/01
燃料集合体内の二相流解析には従来から二流体モデルが使われているが、二流体モデルはすでに特性が解明されている範囲での平均的かつ巨視的な現象に対してのみ有効であり、気液二相流を特徴づける非定常な界面構造を予測する機構論的な解析法とは言い難い。そこで、著者らは地球シミュレータ等のスパコンを利用して相変化や流動遷移などの複雑な過渡現象を含む二相流挙動を直接的に解析する手法の開発を行っている。本報では、革新的水冷却炉を例として行った検証解析結果について述べる。稠密に配置された燃料棒間の流路形状を簡略模擬した体系で大規模二相流解析を行い、(1)微細な気泡は下流へと移行しながら合体し、次第に成長する,(2)合体により気液界面が大きく変形し、それに伴って気泡周囲に複雑な速度場が形成される等の3次元的な気泡流のダイナミクスを再現できた。予測結果の傾向はモデル実験結果とよく一致しており、大規模シミュレーションを主体とした炉心熱設計の実現に大きな見通しを得た。
石田 武和*; Wang, Z.*; 四谷 任*; 町田 昌彦
固体物理, 40(1), p.51 - 67, 2005/01
新しい超伝導体MgBは、エレクトロニクスを初めとしてさまざまな応用分野への展開が期待されている。本論文では、おもに、MgBを用いたトンネル接合素子開発の現状と熱緩和型パルス応答素子による中性子計測に関する取り組みについて解説する。特に、中性子計測に関しては、地球シミュレータを用いた熱緩和の大規模シミュレーションによりMgB素子の検出条件を明らかにした結果について報告する。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
Proceedings of 1st International Forum on Heat Transfer (IFHT 2004), p.207 - 208, 2004/11
1mm程度の燃料棒間ギャップを有するスペーサ付き狭隘流路の使用が稠密燃料集合体で計画されている。このスペーサ付き狭隘流路を流れる水-蒸気二相流の熱流動特性に関して、現在、実験的及び数値解析的研究が進められている。本研究では、狭隘流路に設置されたスペーサ等の物体が液膜流挙動に及ぼす基礎的な影響を大規模二相流シミュレーションによって明らかにした。解析体系は3次元矩形流路とスペーサを簡略模擬した障害物から成る。解析では、流路入口に液膜厚さと水流速及び蒸気流速を与え、時間方向に進展する液膜流の挙動を計算した。使用した入力値は革新的水冷却炉の炉心条件を模擬した。解析の結果、水と蒸気の流速条件並びに加熱壁条件によっては、障害物後端から発生するはく離線に沿ってウエークが形成され、ここでは強い乱れによって液膜が排除されて、ほぼ蒸気で満たされることがわかった。また、障害物の配置や形状による液膜流への影響を定量的に明らかにできた。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之
Proceedings of 1st International Forum on Heat Transfer (IFHT 2004), p.199 - 200, 2004/11
著者らは稠密燃料集合体内の二相琉挙動の詳細を大規模シミュレーションによって明らかにする研究を行っている。本報では二相流挙動の内の気泡流を対象にして行った大規模シミュレーションの結果を示す。解析条件は次のとおりである。正方形断面を有する3次元鉛直流路内を常温,常圧の水が流れる。初期条件として約600個の微小気泡を流路内に発生させた。境界条件は、流路入口での水の流速は0.5m/s一定、流路出口は一様流出、流路壁面は80C一定、全ての壁で流速は0とした。パラメータは、気泡径,正方形断面の寸法及び流路長さで、それぞれ0.2-2mm, 1-10mm, 25-250mmの範囲で変化させた。一連の解析の結果、一辺が10mm以下の正方形3次元流路内を移行する大規模気泡群の合体と分裂に関するメカニズム,合体・分裂挙動に及ぼす加熱壁面の影響,合体気泡の成長挙動などについて有益な知見が得られた。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
第23回日本シミュレーション学会大会発表論文集, p.121 - 124, 2004/06
革新的水冷却炉の稠密燃料集合体内二相流挙動を大規模計算によって予測する研究を行っている。今回の解析では、燃料集合体入口の流速,ボイド率等を種々に変えて行い、複数燃料棒まわりの液膜流挙動に関して、次のような定量評価が得られた。燃料棒の外周は薄厚の液膜で覆われ、その外側を蒸気が流れる。燃料棒間隔が狭い場所では、隣り合う燃料棒が液膜によって接続される架橋現象が見られる。また、蒸気は燃料棒三角ピッチ配列の中心部をストリーク状に鉛直方向に流れる。この領域は狭隘部に比べて摩擦抵抗が低いため、蒸気は流れ易いからである。さらに、一連の解析結果は、実験結果の傾向とよく一致することがわかった。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*; 呉田 昌俊; 玉井 秀定; 秋本 肇
Proceedings of 5th International Conference on Multiphase Flow (ICMF 2004) (CD-ROM), 14 Pages, 2004/06
革新的水冷却炉の稠密燃料集合体内の水と蒸気の二相流の構造を直接解析による大規模シミュレーションによって解明する研究を行っている。今回は、燃料棒表面の液膜挙動に注目し、解析を行い、次の成果を得た。(1)燃料棒表面は薄厚の液膜で覆われる,(2)隣合う燃料棒の間隔が最も狭い領域で液膜の架橋現象が見られる,(3)逆に蒸気は燃料棒間隔が広い領域を鉛直方向にストリーク状に流れる,(4)これは水平断面方向に三角ピッチ状に配列された燃料棒で囲まれる中心の領域は燃料棒狭隘部に比べて局所的に摩擦抵抗が低く、流れ易いためである,(5)稠密炉心における気泡の運動は流れ方向に対する直線的な移動が支配的であり、従来の正方ピッチ配列炉心で確認されている水平方向への移動の影響は小さい傾向にある。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 呉田 昌俊; 秋本 肇
第41回日本伝熱シンポジウム講演論文集, 2 Pages, 2004/05
原研が開発を進めている低減速軽水炉を対象として、稠密燃料集合体内の二相流挙動を直接解析によって予測する研究を、地球シミュレータによる大規模シミュレーションによって行っている。本研究では、熱の影響がない非加熱等温流条件に対して、低減速軽水炉の炉心条件をもとに燃料集合体入口の流速やボイド率を変えて一連の解析を実施し、次の傾向の予測に成功した。(1)燃料棒表面が薄厚の液膜で覆われる,(2)燃料棒間隔が狭い領域で液膜の架橋現象が起こる,(3)蒸気は燃料棒間隔が広い三角ピッチ中心部をストリーク状に流れる。
上島 豊; 岸本 泰明
Proceedings of 3rd International Symposium on High Performance Computing, p.524 - 534, 2000/00
'Intel Paragon XP/S 75MP834'にチューニングしたProgressive Parallel Plasma (P) 2D codeを開発した。この計算機は834のノードからなり、総合性能は120GFLOPSである。それぞれのノードには1つの通信用CPUと2つの計算用CPUをもち、128MBのメモリを搭載している。この計算機の能力を十分に引き出すために、Pコードは、Variable dimension法で省メモリ・集中管理プログラミングを行い、従来の大規模計算で行っていたベクトルプログラミングをスカラプログラミングに変更することでキャッシュヒット率を向上させている。また、ノード内の2CPUを高効率で動作させるためのメモリ排他制御プログラミングや入出力を40倍以上向上させる並列入出力技法を取り入れている。この結果、53ナノ秒/粒子/ステップ(実効42GFLOPS=理論性能の35%)という、高速計算を達成した。また、計算後のデータ転送、解析処理、画面表示まで自動に制御するシステムを実装している。
松岡 清吉; 井戸村 泰宏; 佐竹 真介*
no journal, ,
軸対称トカマクにおいて、プラズマ回転分布に大きく影響する非軸対称磁場摂動の効果がプラズマ性能や不安定性制御の観点から注目されている。非軸対称摂動磁場は非両極性粒子輸送を誘起し、それによって新古典トロイダル粘性(NTV)が生じる。近年、NTV解析について、バウンス平均理論モデルと大域的運動論シミュレーションの両者で得られた結果が一致しないことが指摘され、その原因の解明が問題となっていた。本研究では、二つの異なる大域的運動論シミュレーションを用いた解析を行い、バウンス平均理論との差異について検討した。その結果、NTV解析における理論モデルとシミュレーションの不一致が、理論モデルにおいて仮定されている共鳴条件の不備と摂動磁場に起因する遷移粒子軌道の存在、の二つに起因していることを明らかにした。
松岡 清吉; 井戸村 泰宏; 佐竹 真介*
no journal, ,
磁場構造が軸対称性をもつトカマク型装置において、非軸対称成分を持つ摂動磁場の効果が注目されている。磁場の非軸対象成分は新古典トロイダル粘性(NTV)と呼ばれる衝突性輸送に起因した粘性を駆動し、それがプラズマ回転分布に影響を与えるため、プラズマ回転を利用したプラズマ閉じ込め性能向上や不安定性制御の観点からNTVは重要な研究対象となっている。近年、摂動磁場によるNTV解析について、バウンス平均モデルに基づくSuperbanana-plateau理論と大域的運動論シミュレーションによる結果が一致しないことが指摘され、その不一致の原因となる物理機構の解明が課題となっていた。本研究では、物理モデルや計算手法について2つの異なる大域的運動論シミュレーションを用いてNTV解析を行い、理論モデルとの齟齬について検討した。その結果、(1)Superbanana-plateau理論で仮定されている歳差運動周波数の共鳴条件に不備があること、(2)摂動磁場による粒子軌道の遷移過程、の二つが理論において考慮されておらず、それらにより理論と大域的運動論シミュレーションによるNTV解析結果の不一致が生じていることを明らかにした。
松岡 清吉; 井戸村 泰宏; 佐竹 真介*
no journal, ,
軸対称トカマクにおいて、プラズマ回転分布に大きく影響する非軸対称磁場摂動の効果がプラズマ性能や不安定性制御の観点から注目されている。近年、NTV解析について、バウンス平均理論モデルと大域的運動論シミュレーションの両者で得られた結果が一致しないことが指摘され、その原因の解明が問題となっていた。本研究では、二つの異なる大域的運動論シミュレーションを用いた解析を行い、バウンス平均理論との差異について検討した。その結果、NTV解析における理論モデルとシミュレーションの不一致が、(1)バウンス平均理論で考えられている速度空間内の共鳴構造が粒子の大域的な軌道効果によって消失すること、(2)大域的な粒子軌道効果による速度空間内の微細構造形成、の二点によるものであることを明らかにした。
松岡 清吉; 井戸村 泰宏; 佐竹 真介*
no journal, ,
JT-60やITERをはじめとした軸対称トカマク型装置において、誤差磁場や外部印加摂動等に起因する非軸対称磁場の効果がプラズマ閉じ込め性能や不安定性制御の観点から注目されている。非軸対称摂動磁場がある場合、新古典トロイダル粘性(NTV)と呼ばれる粘性が生じ、その評価法の確立が重要な課題となっている。近年、NTV解析について、従来から広く用いられているバウンス平均モデルに基づいたsuperbanana-plateau理論と大域的運動論シミュレーションで得られたNTV解析結果が一致しないことが指摘され、その原因の解明が問題となっていた。本研究では、二つの大きく異なる大域的運動論シミュレーションを用いたNTV解析を行い、バウンス平均理論との差異について検討した。その結果、superbanana-plateau理論と大域的運動論シミュレーション間の不一致が、superbanana-plateau理論において仮定されている、歳差運動周波数についての共鳴条件の不備と摂動磁場による粒子軌道状態の遷移現象、の二つに起因していることを初めて明らかにした。
松岡 清吉; 井戸村 泰宏
no journal, ,
核融合炉発電を目指したプラズマ輸送研究において、ジャイロ運動論に基づきプラズマ分布関数全体を第一原理的に解くFull-fジャイロ運動論シミュレーションが注目されている。Full-fジャイロ運動論シミュレーションは、これまで、JT-60やITER等、軸対称性を持つトカマク型装置へ適用され、種々の物理機構について調べられてきた。しかし、ヘリカル・ステラレータ型装置のような、非軸対称な3次元磁場構造をもつプラズマについては、数値計算手法の複雑さや計算コストの観点から行われてこなかった。本研究では、Full-fジャイロ運動論コードであるGT5Dを3次元磁場を取り扱えるよう座標系の取り扱いについて拡張を行い、併せて3次元磁場平衡コードVMECとのインターフェースを開発した。これにより、任意の3次元磁場平衡中のプラズマについて、初めてFull-fジャイロ運動論シミュレーションを可能にした。また、開発したGT5D+VMECのベンチマークとして、3次元磁場でのプラズマ輸送のベンチマークとして、プラズマ衝突に起因する新古典輸送に関する比較を行った。本発表では、GT5D+VMECで用いられている計算手法とコードの開発状況、及び、前述のベンチマーク結果について報告する。
松岡 清吉; 井戸村 泰宏; 佐竹 真介*
no journal, ,
軸対称トカマク型プラズマ閉じ込め装置において、非軸対称磁場成分を持つ摂動の効果がプラズマ性能向上や不安定性制御の観点から注目されている。近年、NTV解析について、従来より広く用いられてきたバウンス平均理論モデルと大域的運動論シミュレーションの両者で得られた結果が一致しないことが指摘され、その原因の解明が課題となっていた。本研究では、二つの異なる大域的運動論シミュレーションを用いた解析を行い、バウンス平均理論との差異について検討した。その結果、NTV解析における理論モデルとシミュレーションの不一致が、(1)バウンス平均理論で考えられている速度空間内の共鳴構造が大域的な粒子軌道幅効果によって弱まること、(2)位相混合によって速度空間構造が減衰すること、の二つに起因することを明らかにした。
松岡 清吉; 井戸村 泰宏
no journal, ,
核融合炉発電を目指したプラズマ輸送研究において、プラズマ分布関数の全体をジャイロ運動論方程式にもとづき第一原理的に解くFull-fシミュレーション手法が注目されている。Full-fジャイロ運動論シミュレーションは、これまで、JT-60やITER等、軸対称トーラス形状のトカマク型装置へ適用され、種々の物理機構について調べられてきた。しかし、ヘリカル・ステラレータ型装置のような、非軸対称な3次元磁場構造をもつプラズマについては、数値計算手法の複雑さや計算コストの観点から適用が難しかった。本研究では、Full-fジャイロ運動論コードであるGT5Dを3次元磁場を取り扱えるよう座標系の取り扱いについて拡張を行い、併せて3次元磁場平衡コードVMECとのインターフェースを開発した。これにより、任意の3次元磁場平衡中のプラズマについて、初めてFull-fジャイロ運動論シミュレーションを可能にした。本発表では、GT5D+VMECで用いられている計算手法とコードの開発状況、及び初期計算結果などについて報告する。